電線とケーブルの違いについて解説
電線とは
電線とは一般的に電気を送る導体が絶縁体で覆われた絶縁電線のことを指します。導体は主に銅やアルミニウムなどの金属が使用され、電気を通しにくい絶縁体で覆うことで感電などから消費者を守っています。絶縁体はポリ塩化ビニル(PVC)などが使われています。電気絶縁が不要な場合(架空線など)は導体のみの電線、裸線を指すこともあります。
ケーブルとは
ケーブルとは一般的に複数の絶縁電線が一つに束ねられ、シース(ケーブル全体を覆う外側の層)で保護したものを指します。シースを被覆した一本の絶縁電線もケーブルを指します。
絶縁電線を覆っている絶縁体は主に感電防止を目的としており、絶縁体が傷ついた場合感電や短絡の危険があります。主にその損傷を防ぎ消費者の安全を高めるため、ケーブルにはシースで覆われています。そのほかにも難燃性や耐油性、耐薬品性、耐摩耗性など使用環境に応じた特性のシースがあり、様々な外的要因からケーブルを守ってくれています。
電線とケーブルの違いとは?
電線とケーブルの違いは一般的には絶縁電線を電線、シースを被覆している場合はケーブルと呼んでおり、ほとんどシース被覆の有無の違いです。
そして、これらの呼び方以外にもコード、ワイヤー、信号線、電力線、通信線など使用用途や使用電圧によって様々な呼ばれ方をしています。
様々な産業用途で使用されるケーブル
電線やケーブルはいわば動物の血管のようなものでいたるところで使用されています。
工作機械、半導体製造装置、自動車の組み立てラインや石油プラント、植物工場やオフィスなど様々な産業で使用されています。
最近では新エネルギーと呼ばれる分野も盛り上がっており、ソーラー発電や風力発電、洋上発電などこれらの設備が発電した電気を送るためのケーブルも増えてきています。
製造工場内に配線されるケーブル
製造工場内に絞っても数多くのケーブルが配線敷設されています。工場に電力を送るためのケーブル、そこから各配電盤や工作機械に電力を送る電力線、機械を制御するための制御線、センサーケーブル、ロボットアームに配線されるロボットケーブルなど様々です。
工作機械内部やロボットアームに配線されるケーブル
こういった産業用途で使用されるケーブルは、厳しい環境に耐えられるように設計されています。
工作機械内に配線されているケーブルをみてみると、たとえばモーターを動かすための高い電圧に耐えられる絶縁性や、大電流を流す際に発生する発熱に耐えられる耐熱性、制御するための制御線は外部からのノイズを防ぐシールドを施すこともあります。
ロボットアームでは捻りや曲げ、摺動などが組み合わさった複雑な動作が繰り返されています。ケーブルが断線してしまうと停止や誤動作が発生するかもしれません。そのためロボットアームでは捻じれや曲げに強い高い柔軟性と耐久性を備えたロボットケーブルが欠かせない重要な要素となっています。
まとめ
電線とケーブルの違いは便宜的には区分されているものの、使用用途や環境によって様々なケーブルが存在しています。ここでは触れませんでしたが、法律等で規制されている場合もあります。ケーブルを選定する際にはまずご相談いただけると幸いです。